いびきをかく人は糖尿病になりやすい?いびきが糖尿病のリスクを高める理由は?
睡眠中にいびきをかく人は多いのではないでしょうか。自分では気が付かなくても、パートナーから指摘されたという経験がある人も少なくないでしょう。
寝ている最中にいびきをかくことは特に珍しいことではありませんが、糖尿病といびきの関係性についてはあまり知られていません。
実は、いびきをかくと糖尿病を発症するリスクが高くなったり、糖尿病が悪化する危険性があると言われているのです。
そこで、いびきをかく人は本当に糖尿病になりやすいのか、またいびきが糖尿病のリスクを高める理由は何なのかについてまとめました。
いびきをかく人は糖尿病になりやすい?
いびきは、疲れている時や体調が優れない時にかきやすいものです。また、お酒を飲んだ際にもいびきをかくことはありますよね。
こういった一時的ないびきであれば問題ありませんが、体の状態に関わらず、習慣的にいびきをかいている人は要注意です。
ハーバード大学の医師が行った調査によると、睡眠中に頻繁にいびきをかいている人は、いびきをかいていない人に比べて、糖尿病を発症するリスクが2倍程度高まるという結果になったと発表されました。
つまり、もし毎日のようにいびきをかいている場合は、糖尿病になる危険性が非常に高くなるということです。
いびきと糖尿病は、一見何の関係性もないように感じますが、なぜいびきをかくことで糖尿病のリスクが高まるのでしょうか。
いびきが糖尿病のリスクを高める理由は?
いびきは熟睡していることのサインだと思っている方も多いかもしれませんが、実は全くの逆です。
いびきには、病名として睡眠時呼吸障害という名前が付けられています。
いびきをかくということは、呼吸がしにくくなっている状態ということです。呼吸がスムーズにできないと、酸素を上手く取り込むことができず、体が酸素不足に陥ります。
そして、酸素不足になることで、カテコールアミンという神経伝達物質の増加やインスリンの働きが弱まることで、血糖値が上昇しやすくなるのです。
カテコールアミンの増加
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カテコールアミンとは、血糖値の上昇を促す神経伝達物質です。酸素不足になると、カテコールアミンの分泌量が増加しますので、必然的に血糖値の上昇に繋がります。
インスリンの働きが悪くなる
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インスリンには血糖値の上昇を抑える働きがあります。インスリンが正常に働いていないと、ブドウ糖が細胞に上手く取り込まれずに血液中にどんどん溜まってしまい、血糖値が上昇します。
体の酸素不足によって分泌が活発になるカテコールアミンは、インスリンの働きを阻害する作用があります。そのため、カテコールアミンとインスリンの作用不足で、より血糖値が上がりやすい状態になってしまいます。
いびきをかきやすい人の特徴は?
いびきをかきやすい人の身体的な特徴としては、太っている人や首が太くて短い人、あごが小さい人などです。
また、仰向けに寝る、口を開けて寝るといった習慣がある人もいびきをかきやすくなります。他に、お酒を飲んだり、鼻やのどが炎症を起こしているといったことが原因で、一時的にいびきをかきやすくなることもあります。
エスエス製薬が実施した調査では、日本人全体の3割程度は睡眠中にいびきをかいており、特に40代以降の中高年の男性はほぼ毎日のようにいびきをかいている人の割合が多いとされています。
そのため、知らず知らずのうちにいびきをかいて、糖尿病を発症するリスクが高まっている方はかなり多いと言えるでしょう。
いびきをかくメカニズム
いびきは、睡眠中にのどの気道が狭くなった際に、空気が通ることで発生する振動の音です。正常な状態であればのどが急激に狭まるということはありませんので、呼吸をしてもいびきのような大きな音は出ません。
ただ、何かしらの異常があると、のどが極端に狭くなり、呼吸がしにくくなります。上手く呼吸がしにくい中で無理に空気を取り込もうとするため、のどが大きく振動し、いびきが出るのです。
いびきは糖尿病以外の生活習慣病とも関連性が深い
いびきによって、糖尿病の発症リスクは大幅に高まります。いびきをかくと、健康な状態の時と比較して、血液中の酸素濃度が30%程度低くなる場合もあり、体が酸素不足になることで様々な弊害が出るのです。
特に、習慣的にいびきをかいていると、糖尿病だけではなく、高血圧や狭心症、心筋梗塞などの生活習慣病のリスクを高めることになります。
そのため、たかがいびきと軽く見るのではなく、自分はどの程度いびきをかいているのか、頻度はどのくらいかといったことをきちんと確認しておくことが重要なのです。